空を飛ぶドローンとヘリコプター。どちらもローターと呼ばれる回転する翼によって揚力を生み出して飛ぶ機体ですが、機体をよく見ると、その構造には大きな違いがあるんです。私たちが一般に「ドローン」と聞いて思い浮かべるマルチローター型の機体には、4基や6基といった複数のローターが配置されています。一方、一般的なヘリコプターでは、機体上部に大きなメインローターが配置されています。
国土交通省では、無人航空機の種類として「回転翼航空機(マルチローター)」と「回転翼航空機(ヘリコプター)」を区別しています。どちらもローターによって揚力を生み出し、垂直離着陸やホバリングができるという共通点がありますが、機体を動かす仕組みには大きな違いがあります。
マルチローター型のドローンは、機体の周囲に配置された複数のローターの回転数をそれぞれ変えることで姿勢を制御します。例えば、ある方向のローターの回転を強めたり弱めたりすることで機体を傾け、前後左右へ移動します。国土交通省の教材でも、フライトコントロールシステムによって各ローターの回転数を制御し、機体の姿勢や位置を安定させていると説明されています。
一方、シングルローター型のヘリコプターでは、大きなメインローターのブレードの角度を変えることで、発生する力の大きさや方向を調整します。JAXAの解説では、ヘリコプターが自在に飛行するための重要な仕組みとして、ブレードの角度を変える「可変ピッチ機構」が紹介されています。ローターが生み出す力の向きを変えることで、前進や後退、左右への移動が可能になります。
さらに、メインローターを回すと、その反作用によって胴体はローターとは反対方向へ回ろうとします。そのため一般的なシングルローター式ヘリコプターでは、機体後部のテールローターなどを使って、この回転を打ち消しています。FAAも、テールローターの主な役割はメインローターによって生じるトルクを打ち消し、機首の向きを制御することだと説明しています。
では、なぜ大型のヘリコプターではシングルローターが多く、比較的小型のドローンではマルチローターが広く使われているのでしょうか。
国土交通省によると、ヘリコプター型は1組の大きなローターで揚力を発生させるため、マルチローター型より空力的に効率よく揚力を得ることができます。一方、マルチローター型は複数のローターを高速回転させるためエネルギー消費は大きくなりますが、電子制御によって姿勢を安定させやすく、機体構成も比較的シンプルにできます。
同じ「回転する翼で空を飛ぶ」乗り物でも、複数のローターを電子的に制御するマルチローターと、大きな一組のローターを巧みに制御するシングルローターでは、その仕組みは大きく異なります。
普段何気なく見ているドローンやヘリコプターも、ローターの数や動きに注目してみると、それぞれがどのように空を飛んでいるのかが少し見えてくるのではないでしょうか。
本日のひとこと
「同工異曲(どうこういきょく)」
やり方や表現は異なっていても、趣旨や内容には共通するところがある、という意味の言葉です。
マルチローター型のドローンとシングルローター型のヘリコプターは、ローターの数や姿勢を制御する仕組みが大きく異なります。しかし、どちらも回転する翼によって揚力を生み出し、空を飛ぶという点では共通しています。同じ目的を実現するための方法は、必ずしも一つではないということが分かります。
仕事や日々の生活でも、同じ結果を目指していてもそこへたどり着く方法は人や状況によって異なるものです。一つのやり方だけにとらわれず、それぞれの特徴や長所を理解しながら自分に合った方法を選ぶことが結果への近道になるかもしれませんね。