技術的な問題だけでは片付かない──ドローン最先端を走る中国との差を埋めるには

ドローンの世界に目を向けると、中国は現在、世界でも非常に大きな存在感を持っています。しかし、日本との差を考えるとき、単純に「中国の方が優れた機体をつくれるから」と考えるだけでは、その理由を十分に説明できません。

中国民用航空局によると、2024年末時点で中国の登録ドローンは200万機を超え、年間の飛行時間は2,600万時間を超えました。また、中国政府は2024年の政府活動報告で、ドローンなどが活躍する「低空経済」を新たな成長分野の一つとして位置付けています。さらに、物流や農林業、インフラ点検など幅広い用途で利用が進み、無人航空機の試験区域や運航を支える仕組みも整備されています。

ここで重要なのは、「たくさんつくっている」だけでなく、「たくさん飛ばしている」という点です。実際の現場で使われる機体が増えれば、さまざまな環境で運航した経験や課題も蓄積されます。そこで見つかった問題を機体やソフトウェアに反映し、改良した製品を再び市場へ投入する。この繰り返しが速ければ、技術そのものも磨かれていきます。

一方、日本でも2022年にレベル4飛行を可能にする制度が始まり、有人地帯での補助者なし目視外飛行への道が開かれました。政府の「空の産業革命に向けたロードマップ」でも、物流や医療、防災などでドローンの社会実装を広げる取り組みが進められています。つまり、日本に技術や制度がないわけではありません。

これから差を埋めるために必要なのは、機体性能だけを追いかけることではないでしょう。実際にドローンを使える場所を増やし、事業として継続できる用途をつくり、そこで得られた経験を次の技術開発につなげていくことが重要です。

ドローン産業の競争力は、一つの優れた機体だけで生まれるものではありません。メーカー、運航事業者、行政、利用する企業や地域がつながり、技術を「使い続けられる環境」をつくること。その循環をどれだけ速く、大きく回していけるかが、中国との差を考えるうえで大切な視点なのではないでしょうか。

本日のひとこと

「百聞は一見に如かず(ひゃくぶんはいっけんにしかず)」
何度も人から話を聞くよりも、実際に自分の目で一度見る方が、物事をよく理解できるという意味のことわざです。

ドローンの技術も、机上で研究や開発を進めるだけではなく、実際の現場で飛ばして初めて見えてくる課題があります。多くの機体がさまざまな用途で使われれば、それだけ多くの経験やデータが蓄積され、そこで得られた気付きが次の改良や新しいサービスにつながっていきます。

仕事や日々の生活でも、知識を得ることはもちろん大切ですが、実際にやってみることで初めて分かることも少なくありません。知ることから一歩進んで、経験する機会を増やしていくこと。その積み重ねで、新しい技術や仕組みを育て、次の一歩につなげていきたいですね。