暗闇で船の向きを判断するには──三色の灯火が示す船の進行方向

夜の海で、赤や緑、白の灯りを見たことはありませんか?街の明かりとは違い、海上を移動するこれらの灯りには、それぞれ意味があります。

船は夜間、周囲の船に自分の存在や向きを知らせるため、「航海灯」と呼ばれる灯火を掲げます。代表的なのが、船の前方に掲げる白色のマスト灯、左舷側にある赤色の舷灯、右舷側にある緑色の舷灯、そして船尾側にある白色の船尾灯です。

この色の違いを知っていると、暗闇の中でも相手の船がどちらを向いているのか、おおよその判断ができます。

たとえば、自分から見て赤い灯火だけが見えている場合は、相手の船の左舷側を見ていることになります。反対に緑色が見えていれば、右舷側を見ているということです。船尾側の白い灯火が見えている場合は、相手船の後ろ側を見ていることになり、自分から遠ざかる方向へ進んでいることが分かります。

さらに注意が必要なのが、赤と緑の両方が見える場合です。向かって右側に赤い舷灯、左側に緑の舷灯が見えるということは、その船の正面側を見ていることになり、互いの進路によっては接近する可能性があります。そのため、周囲の状況や距離の変化をよく確認する必要があります。

もちろん、実際の航海では灯火の色だけで判断するわけではありません。船の種類や大きさ、航行している状態によって掲げる灯火は異なり、レーダーやAIS、目視による継続的な確認も欠かせません。

昼間であれば船体を見れば分かる船の向きも、夜の海では簡単には分かりません。だからこそ、わずかな灯りが大切な情報になります。

赤、緑、白。それぞれの灯火が何を示しているのかを知ることは、夜の海で相手船の動きを読み、安全を守るための基本の一つなのです。

本日のひとこと

「一寸先は闇(いっすんさきはやみ)」
ほんの少し先のことでも、何が起こるか予測することはできない、という意味のことわざです。辞書にも収録されている古くからの表現で、先の見えない状況をたとえた言葉です。

夜の海では、昼間のように相手船の姿や向きをはっきり見ることはできません。だからこそ、赤や緑、白の航海灯から相手船の向きや動きを読み取り、周囲の状況を確かめながら航行することが大切です。わずかな灯りであっても、その意味を知っていれば、安全を守るための重要な情報になります。

先が見えにくいときほど、目の前にある小さな情報を見落とさず、一つひとつ確かめながら進むこと。海の上だけでなく、日々の仕事や生活でも、先が分からないからこそ、今分かることを丁寧に見極める姿勢を大切にしていきたいですね。