船や岸壁にタイヤが取り付けられているのはなぜ?

港に停泊する船を見ていると、岸壁や桟橋に古いタイヤがぶら下がっているのを目にすることがあります。あれは「防舷材(ぼうげんざい)」として使われているもので、船と岸壁が直接ぶつかるのを防ぐ大切な役割を担っています。特に古タイヤを再利用した防舷材は、コストを抑えながら高い衝撃吸収性を持つため今も多くの港で活躍しています。

船が接岸する際、潮の流れや風の影響によって船体が岸壁に寄せられることがあります。このとき、金属製の船体がコンクリートに直接触れると、損傷や塗装剥がれなどのトラブルが発生してしまいます。そこで、間にクッションとなる防舷材を設置し、衝撃を和らげるのです。タイヤはゴムの弾力が大きく、重量のある船でもしっかりと衝撃を吸収してくれるため非常に実用的です。

また、廃棄予定のタイヤを再利用できる点も環境面で優れています。トラックや大型車のタイヤは耐久性が高く、海水や紫外線にも比較的強いため長期間使用することが可能です。港によっては見た目や設置方法を工夫し、安全性と美観の両立を図っています。

近年では、より高性能なゴム製や樹脂製の防舷材も開発されていますが、古タイヤは手軽さと経済性で根強い人気を保っています。

本日のひとこと

臨機応変(りんきおうへん)
その場の状況や条件に応じて、柔軟に最適な対応をとることを意味する四字熟語。
本来の用途や計画にとらわれず、変化する環境や予期せぬ事態に合わせて判断・行動できる能力を称える言葉として使われます。

専用品がなくても古タイヤでうまく対応されてきた防舷材は、まさに「臨機応変」の精神が発揮されていると言えますよね。
刻々と変化する天候や潮流、船の運航状況に柔軟に対応し、今日も安全な入出港をサポートいたします。